2010年02月18日

【エセSF】ネバーランド/エバーライズ(6)

若干お誕生日からはみだしちゃったけど、兄誕記念長編連載納豆ネバエバ、これにてようやく完結です。

もうこんな切羽詰った連載はやらんぞ! と鼻息あらく息巻いてみましたが、よくよく考えたら色んなことに手をだしすぎて、誕生日前に書きあがっているはずが誕生日期間中に書いていたからこんなことになってわけでありまして。
どう考えても自業自得でした。


そんな七転八倒の当ブログ初連載作品最終話、最後までお楽しみいただければ幸いであります。

※2/20、誤字等一部修正しました。

それでは、続きから本編へー。





Last act.最後の歌を天国に贈る《Gentle lie of Heaven》

 ポットがお湯を沸かす音が、こぽこぽと鳴り響く。
 タオルで濡れた身体を拭いて、濡れて汚れた包帯の替わりに医者から貰ってきたという眼帯を貸してもらって、カイトは疲れた身体をソファに投げ出した。
 リンが向かいのソファに座って、ちびちびとオレンジジュースをすすっている。
「確かに死んだってはっきりわかってたわけじゃないけど……。普通に出てきすぎだよ」
「何その、ヒーローは遅れてやってくるみたいな」
「お前ら、恩人に向かってちょっと風当たりキツくないか?」
 少し前に『天国』に行ったはずのアカイトは、引きつった顔でバニラアイスをすくい、口に運ぶ。色が赤くても基礎設定は変わっていないので、彼もカイトと同様にアイスが好物だ。
 ここはアカイトが仮住まいにしているという、廃屋だった。平屋のごく小さな家で、三人入ると少し手狭だ。
 何があったのかは、一通り説明し終えていた。お嬢様を拾った経緯も、故障がきっかけで過去のことを思い出したことも。
「アカイトも、過去のことが思い出したから『天国』に行ったんだろ?」
 彼はアイスの、最後のひとすくいをよく味わってから「まぁな」とそっけなく答える。
「意外と『天国』の人口は多いぞ。普通に機能停止した奴の方が珍しいってさ。遠い町まで流れたる奴もいるけど、大抵俺みたいに半端に街の近くに住んで隠居みたいになってる」
 彼は治した方の耳を指さした。
「どうしてこんなことが起きたのか、研究した奴もいる。俺達は災害の後、人間がいない世界にほうりだされた。俺達にはある程度、状況を学習して適応する能力が備わっている。だから、人間がいない世界で主がいない自分たちがどうやって動けばいいのか、っていうシュミレートと適応を繰り返した結果、計算がどこかでずれたんじゃないかってこと」
「んん? つまり、バグったまま順応したと?」
「俺も難しい理屈はよくわからない。専門外だ」
 カイトは溶けかけたアイスを味わいながら、悶々と考え込んだ。当時の最新式アンドロイドは、人間に限りなく近い思考をできるようにはなっていた。しかし、それもあくまで人間の社会があることを前提とした思考プログラムだ。人間がそもそもいない状況というのは、計算の及ばない未知の領域だったに違いない。
「基準となる人間の社会がなくなったから、自分たちで人間の社会を模倣した、と……。そのために矛盾する記憶情報も、都合よく改ざんしたわけか」
「でも、それじゃ、故障箇所を治したら昔の記憶が戻るのはなんで?」
 飲み終わったオレンジジュースのストローを、行儀悪く指の間でくるくると回しながら、リンはしきりに首を傾げる。
「うーん、『天国』にいる奴らも全員が全員、故障がきっかけで思い出したわけじゃないみたいだけど……。パーツ交換レベルの損傷を受けたら、そこの部分の機能が一時的に死ぬだろ? 機能が死んでいる部分の情報は読み取れないわけで、そうすると俺達の回路が出した行動指令は、その部位を動かす情報を探すために初期設定を確認しにいくわけであってな」
「……うーん、地図に載っているのに実際に行くとなかった劇場のありかを、街の施設案内所に行って、昔はあって今はないの? それとも最初からこの地図が間違ってんの? て聞きにいく感じ?」
「おお、まさにそれだ! リン、お前頭がいいな!」
 リンの横槍が思いのほか的を得ていたようで、説明に困っていたアカイトが表情を輝かせる。カイトはそんな二人を横目に、頭の中を整理してみた。
「そしたら、地図そのものを自分で書き換えていたことを思い出した、ってことか」
「そんなところかな」
 そして『ヒト』を名乗る機械の群れの中で、決して明かすことのできない秘密を抱え込むことになるのだ。人間がいない世界で人間に存在理由を与えられていた機械が、自我を保つために作り上げたのが今の世界だというなら、真実なんて告げられるわけがない。
 何もかも全て偽りでした。真実は全て消えてしまいました。
 それを簡単に割り切れるなら、どれだけのアンドロイドが『天国』を探さずに済んだのだろう。
 アカイトの語る『天国』は、少なくとも終わるためにある場所ではなかった。
 恐らくは多くがまだ眠ったままの――あるいはもう目覚めることがなくなってしまった人間の姿を、追い求める先が『天国』だったのだろう。実際、死ぬことで『天国』まで追いかけにいった者も存在するはずだ。
 人間の行方を求める機械たちのコミュニティが『天国』だというなら、これ以上にない皮肉だ。
「だけどアレだな。カイトが拾ったお嬢さんが人間だとすると、世界中の遺跡を掘り返せばまだ生きている人間が出てくるかもな」
「そうだ、あの遺跡にはもしかしたらお嬢様の家族がまだ眠っているかも――」
「無理だ、諦めろ」
 カイトの言葉が終わるよりも早く、アカイトがさえぎった。
「何であそこに俺がいたかっていうとだな、遺跡が地表に出ているのを見つけた仲間に教えられて、中を調べに行ってたからだよ。そしたら知った顔が来たから隠れていたってわけ」
「浸水すると、やっぱダメなのか?」
「それ以前の問題だな。カイトがやった時、開いたのはそのお嬢様とやらのカプセルだけだったんだろう? 同タイプを調べたデータがある。カプセルの解凍は正常に機能していれば“全て同時に行われる”んだ」
 それはつまり――、お嬢様が眠っていたカプセル以外に入っていた人間は、全て死んでしまったということだ。永すぎる眠りがそうさせたのか、カプセルの不具合なのか。あそこで生きた人間を探すのは、無意味なってしまった。
「……一人生きているんなら、探せばもっと生きている人間はいるかもしれない」
 慰めなのか、それともただ事実のみを言葉にしてみただけなのか。アカイトの言葉は、カイトに重くのしかかっていた。
 お嬢様のように、奇跡的な偶然でこの世界に戻ってこられる人間は、きっとまだいるのだろう。
 だけど、この世界はすでに人間のものではない。機械もまた、今更人間のものには戻れない。だから、守っていく場所が必要なのだ。人間を忘れたこの世界から、人間の手を離れた機械から。共存していくには、人間は数を減らしすぎてしまった。
 そのための場所が――『天国』だ。
「リン、そろそろ帰ろうか」
「え? あ、うん」
 突然立ち上がったカイトに、リンはきょとんとした顔をしながらも頷く。
 アカイトから傘を借りて、レインコートはリンに返し、出て行く寸前に一度だけ、カイトはアカイトを振り返った。
「めーちゃんはアカイトが死んだなんて、思ってないって」
 アカイトは何も答えなかった。ただ、かなわないな、という風に情けなさそうな笑みを浮かべていた。



 帰ったら、家の前でミクが仁王立ちして待っていた。長ネギを構えている。顔つきは修羅のごとく。その隣にはレンもいた。こちらもバナナ二刀流で羅刹の顔。
「おーにーいーちゃーんー? リンちゃんとどーこいってたのかしらー?」
「ちょ、ミク。とりあえずネギを収めて! 話を聞いて!」
「人が心配してんのに、のん気に兄貴とお散歩とはいい度胸だなぁ!」
「いやいや、レン! あたしはカイト兄とか、ちょっと射程範囲外っていうか!」
 傘を放り投げてあたふたするカイトと、自分は無関係とばかりにカイトを突き飛ばすリン。
 ミクは修羅の形相から子供っぽいふくれっ面になって、ネギでカイトの頭をぺちぺちと叩く。
「ホントに心配したんだからね」
「ああ、うん。ごめん。だから叩くのは勘弁して。ネギ汁が……」
 ちらと横を見やると、リンはリンで、レンに手を合わせて平謝りしている。みかん食い放題なんてどこでもやってねーだろうが! とか何とか。まさか本気で信じていたのかレンよ、とカイトは弟分の行く末を憂えた。
「そんなことよりも、お兄ちゃん。お嬢様連れて準備してきてよ。目のパーツ、早めに手に入ったから治せるって」
 なるほど。それでミクは、多分わざわざカイトの家まで訪ねてきたのだ。今朝方病院で別れた時のこともあるので、家にいないと気がつくなり青い顔で方々に連絡しまくったに違いない。その結果、リンも不自然な理由で外出していることを知り、そしてレンと二人で修羅と羅刹になったわけだ。それは悪いことをした。
 家に入ると、待ちわびたようにお嬢様が飛び出してきた。
「カイト、おかえり!」
「……ただいま」
 彼女を抱きしめて、頭を撫でてやりながら、カイトはこれからのことを考えていた。
 人間は機械とは違う。成長するし、老いていく。機械だらけの世界から浮いてしまう。
 彼女を守る方法を、考えた。
 答えがそこにある。『天国』の意味を知らなければ、思いもしなかっただろう、答えが――。



 目の神経を繋ぐのは、意識がある状態では少しばかり痛かった。ぎゃあぎゃあと騒いでしまったので、レンがここぞとばかりに大笑いした。一歩間違ったら自分も似たような目にあったかもしれないのに、と恨み言を言いたくなったが、失踪騒ぎ(?)を起こしたばかりな手前、やめておく。
 目が元通りになって、お嬢様もにこにこと笑っているのを見て、カイトは不思議とすっきりとした気分になっていた。
 自分がヒトではなくアンドロイドとわかったところで、何が変わるわけでもない。機械はヒトを名乗り続け、そして人間のほとんどは眠ったままだ。
 再び人間の社会が再興することがあれば、過去にはなかった人間と機械の関係性が生まれるかもしれないが、それはきっとまだまだ先の話だ。少なくとも、お嬢様以外の人間がいなければ異文化交流もできやしない。
 だけど機械が今築き上げているこの社会は、人間が存在したからこそ生まれたもの。だからきっと、人間が居場所を作ることだってできるはずだ。
「あ、兄さん、無事に治ったのね」
 待合室に顔を出したハツネが、カイトに気づいて手を振った。
 ミクはカイトの行方を捜している間、劇場にも連絡を入れたらしい。カイトを見つけたとの報せに、わざわざ歌い手仲間がこぞって駆けつけていた。
「兄様、あまり心配かけさせないでくださいね」
「いやいや、こいつは危機感薄いから何度でも心配かけるわよ」
 ルカが肩をすくめ、メイコが悪態をつく。それでも律儀に来てくれるのだから、付き合いがいい。
 そんな中。ハツネとミクが会話している様子を見ながら、カイトはしみじみと自分たちが機械なのだと思い知った。同じ顔、同じ姿が集まるのも当然だ。商品であったアンドロイドに、人間ほどの外見バリエーションなどあるはずもないのだから。同じ能力を要求される場所には、同じ商品が集まってくる。ただそれだけのことだった。そんな単純なことにすら、気づかずに過ごしてきたのだ。
 ここにはちょうど歌い手仲間が全員揃っている。良い機会だろう。そう思って、カイトはついさっき、心に決めたことを告げる。
「みんな、僕はこれからお嬢様と一緒に『天国』に行こうと思うんだ」
 にわかに騒がしくなっていた待合室が、一気に静まりかえった。
 歌い手仲間が――それどころか、待合室の片隅にいた女の子や、機材を運んでいたナースまでこちらに注目したので、カイトは少しだけ息を呑む。しかし、ひとつ咳払いをして、すぐに続けた。
「勘違いしないで欲しい。自殺しにいくとかじゃないから。とにかく、お嬢様が安心していられるような……そういう『天国』が必要なんだと僕なりに考えたわけだ。理解してくれとは言わない。自分でもわけがわからないこと言ってるとは思う。だけど……」
 なんだか胸がいっぱいになってきて、カイトは息をついた。
 何て自分勝手な主張だろう。理由も語れないくせに、姿を消すことを認めろという。
 何て自分勝手な理由だろう。お嬢様はカイトが主人だと認めた彼女とは全くの別人なのに、『カイトのお嬢様』はもうこの世界のどこにもいないのに――自分の存在意義を、このひとりぼっちで取り残された小さな女の子に押し付けようとしている。
 それでも。
「僕を、信じて欲しい」
 たどりつく『天国』は嘘でできているかもしれない。真実など何も役にたたないとしても。
「うん、カイトと一緒にいく」
 それでも、彼女が笑顔でそう答えたので。
 カイトは力の限りで、小さな体を抱きしめる。
 ――私が眠るまで、歌ってね。
 耳の奥に主人の声が、蘇る。
 カイトは、思い出していた。世界が一度終わる前の、主人との最後の時間を。
 歌を歌っていた。ずっとずっと。それはいつもの子守唄ではなかった。主人が覚えた手のピアノを駆使して、途中まで作っていた歌だった。
 未完成のそれに歌詞はない。ただ、ずっと、ラララと歌い続けた。
 その先は覚えていない。多分、覚えている必要もない。
 必要なのは、主人から与えられた、最初で最後のこの福音だけなのだから。


Epiloge:天国に一番近い嘘《Neverland/EverLies》

「あー、カイトってみんなこんなにバカなのかしら」
 カイトとお嬢様が出て行った後、メイコは頭を抱えてためいきをついた。
 ミクがツインテールを振り乱しながらぶんぶんと首を振る。
「お姉ちゃん、そんなこと言ってる場合じゃない! 天国って! 天国に行くって、何で止めないの!?」
「あんたも止めなかったじゃない。止められるような空気でもなかったし」
「まぁ、死ぬ気がないのは本当だよ。あたしが保証するって」
 リンになだめすかされて、ミクは釈然としない顔で押し黙る。
 横目で見ていたレンが、彼女に耳打ちした。
「どういうことだ?」
「うーん、レンにはまだ早いっかな?」
「意味わかんねーよ」
「いつか話すよ。レンにそういう時が来た時、迷ったりしないようにさ。だからあたしは『天国』に行かない」
 にっこりと笑ってそんなことを言うので、レンは押し黙った。彼としても、無理矢理聞き出すのは本意ではないのだろう。
 リンはくるりとターンしてミクに向き直る。
「ミク姉は、ほーんとカイト兄が心配なんだ」
「そ、そりゃ……だって、お兄ちゃんは、劇場に入りたての頃から面倒をみてくれたし、相談にもいっぱい乗ってくれたし」
 ごにょごにょと小声で呟く彼女に、ルカが肩を叩く。
「今なら間に合いますわよ」
 ハツネがもう片方の肩を叩く。
「ミクがいなくなったら私は大忙しね。ギャラが増えるわ。どうしようかしら。ネギを買い占めようかしら?」
 メイコが額に手を当てて、大きく息をついた。
「公演予定、大変更だわ」
「うう……それってつまり」
「もし、アカイトに会ったら伝えといてくれる? 大人の男役が不足しているからさっさと戻ってきなさいバァーーカって」
「……うん、わかった。バァーーカ、のところまでちゃんと伝えておく」
 意を決して、ミクは胸の前でガッツポーズをとり、そして向き直って面々の前で敬礼をする。
「いってきますっ!」
 ツインテールとミニスカートを揺らして、彼女は走り出した。



 雨は止んでいた。
 空には七色の橋がかかっている。まるで祝福のようだと、カイトは思う。
 当面必要な食料とお金と、お嬢様の服だけ鞄につめてきた。二人で手を繋いで、あの湖のたもとへと向かっていく。
 何となく、そこからはじめたかったのだ。
 悪い気分ではなかった。むしろ上機嫌に、鼻歌なんかを歌ってみたりもする。
 最初で最後のメロディーは、何度でもリピートを繰り返す。
「何のうた?」
 お嬢様が尋ねるので、カイトは鼻歌をやめて見上げる彼女と目線を合わせた。
「昔にね、僕がとても大好きだった女の子が作った歌ですよ」
「その人に会いにいくの?」
「うん? 違いますよ。その子はとても遠い場所にいて、もう会えないんです」
 苦笑して、カイトは小さな女の子を腕に抱え上げた。
「そろそろちゃんとした名前を決めなくちゃいけないですね」
「おじょうさまでいいよ?」
「ですから、それは名前じゃないので……」
「だって、おじょうさま、っていってる時、カイトがうれしそうなんだもん」
 カイトは戸惑って、目を丸くする。嬉しそうにしていただろうか。あの時はまだ、過去の記憶もきちんと思い出していたわけではなかったのに。
 もしかすると気づかないだけで、この世界でヒトの振りをしている機械たちは、無意識にかつての主の姿を追いかけているのかもしれない。
「……そうですね、これからもお嬢様って呼びますか。でも、名前はそれとは別に、きちんと決めましょう」
「うん!」
 にっこりと笑うお嬢様を、地面に下ろす。再び歩き出した二人の背中に、かすかな声が降ってきた。
「おにーーーーちゃーーーーーん!!」
 今、ミクっぽい声が聞こえたような。そうでもないような。
 思わず歩みを止めたカイトの元に、今度ははっきりと声が届いた。
「待ってー! お兄ちゃーん! ミクも天国に連れてってー!」
「な、何か誤解を招きそうな発言だよ、ミク!」
 思わず振り返ると、ネギが溢れてたくさん突き立っている鞄を抱えたミクが、全力疾走してくるところだった。
「ちょ……ミク、何でこんな!」
「わ、私も連れていってもらおうと思って」
「劇場に戻りなよ。もう街にいられなくなるかもしれないんだよ」
 あたふたと取り繕おうとするカイトのマフラーをがっしりつかみ、ミクは彼をきっとにらみつける。
「劇場にはハツネがいるわ」
「そうはいっても、さ」
「私はお兄ちゃんを信じたの。信じたからついていくの!」
 鋭い視線が、不意に柔らかく緩む。
「女の子のことなんかろくにわかってないんだから、私がいないと困るでしょ?」
「あー……うん、はい」
 服選びの件での前科があるだけに、カイトの陥落は早かった。まるで敵う気がしない。
「いっしょにいこう、ね」
 お嬢様がミクとカイトの手をそれぞれとって、歩き出す。カイトとミクは顔を見合わせて、困ったように笑った。
「ねぇ、てんごくってどんなところ」
 お嬢様の無邪気な質問に、カイトは少しだけ考え込んで、そしてこう答える。
「そうですね。きっと……とても綺麗で優しい場所ですよ」
 この答えは、今はまだ嘘でしかない。だけど願わくば、真実にかわりますように。
 空にかかる虹の橋は、柔らかい青色に溶けて消えようとしている。まるで天国に、還るように。

 この世界は嘘でできている。
 天国もまた、嘘でできているのだろう。

 だから、きっとこの嘘も――天国でできているに違いない。


《完》
posted by さわのじ。 at 00:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説  | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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