2009年12月08日

時にはダメな変態のように。

普段は絶対にかかないような話を、書いてみたくなる時ってあるじゃないですか。
ありますよね? 私だけじゃないですよね?

で、せっかくなんで、普段あまり書かないカップリングにしてみようか、と。
というわけで、カイメイを目指してみました。

目指してみただけです。

目指そうとはしていたんです。(途中までは)


色々はっちゃけた結果、大変どうしようもないものができてしまったというか、これはすでにカップリングとは呼べない何かなので、カイメイスキーの方にはあまりおすすめしません。

というか、綺麗な兄さんがお好きな方におすすめできません。
大変どうしようもない変態でもよければ続きからどうぞ。








************************


お兄さんが××××?


************************



「あれ、ミクと双子は?」
 風呂からあがるといつもうだうだと遅くまで起きている子供たちがいなくなっていたので、メイコは主夫よろしく洗い物をしているカイトの背に問う。
「明日はマスターが遊園地につれていってくれるそうです。というわけで、いつになく素直に寝たよ」
「あー、レコーディングの前日にもこれくらい素直に寝ればいいのにねぇ」
 プロ意識が足りない……と言いたいところだが、彼らだってたまに遊びにいく時くらい、素直にはしゃぎたいのだろう。大目に見ておくことにする。
 晩酌のワンカップをあけると、ちょうど洗い物をおえたカイトがエプロンを外して戻ってきたところだった。
「何だか久し振りだね、めーちゃんと二人きりの夜って」
「あいつらがきてから賑やかだもんねぇ」
 ミク、リン、レンの双子、レコーディングが深夜までずれこんだとかで、今はここにいないルカ。この家にもずいぶんと家族が増えたが、昔はメイコとカイトの二人きりだったのだ。
「あんた、こんな日くらいは晩酌に付き合いなさいよ。飲めないわけじゃないんでしょ?」
「めーちゃん、もう酔っ払ってるの? 僕の晩酌はホラ、これだから」
 カイトは冷凍庫からハーゲンダッツを取り出し、メイコの向かいに座ってフタを開ける。一口すくって食べて、至福の笑顔。二口目で陶酔の極み。
 そんな彼の緩みきった顔を横目に、メイコはアイスをすくってできた溝に、ワンカップを流し込んだ。
「な! なな、何するのめぇーちゃんっっっ!?」
「晩酌」
「ぼ、僕の聖域を侵さないでよ!」
「何が聖域よ。いいじゃない、お酒風味のアイス。大人の味よ?」
「そういう問題じゃないよ!」
「ほらほら、ねーるねーるねーるねーはーいひひひー」
「あああ! 練らないで! 練りこまないで! ていうか、そのネタ歳がばれるよっっ!?」
「……なんだって?」
「…………イエ、ナンデモ」
 ハーゲンダッツが、すっかりアルコール臭にまみれて既にアイスとは名状しがたい何かになった頃には、カイトはすっかりマジ泣きになっていた。
 さすがにちょっとやりすぎた気配を感じたメイコは、できるだけ女神のような微笑をこころがけながら、だいぶみずっぽくなったハーゲンダッツをひとすくいする。
「大丈夫大丈夫、吟醸酒アイスとかもあるんだから、案外美味しいって。ほら、あーん!」
「ほんとに? 本当に美味しい?」
「あたしの酒が食えないっての? ほら、あーん!」
 メイコの押し(というか脅し)に負けたカイトが、若干嫌そうに口を開く。その口に、ぐいっとワンカップ練りアイスをつっこむメイコ。
「むぐ……」
 カイトは不自然な唸り声を上げて、そのまましばらく動かなかった。
 ぴくりともしなかった。
「……カイト? ちょっと、え?」
 さすがにメイコも焦り始める。
 そのまま、かくん、とカイトはテーブルに突っ伏した。
「めぇー……ひゃん」
「は……!? いやまさかとは思うけど、さっきの一口で酔ったとか言わないわよね!?」
「よっへないよー。らいじょうぶー」
「どこからどうみても酔っ払いじゃないの!」
 そういえばカイトが酒を飲んでいるのは見たことがなかった。だけどよくよく思い起こしてみると、ラムレーズンのアイスや甘酒アイスを食べた時は、何だかいつも以上にぼんやりしていたかもしれない。
 まさかここまで弱いとは……。
「ああ、もう。あたしが悪かったわよ、さっさと寝なさい、酔っ払い!」
 仕方がないので肩を貸して立ち上がらせようとするも、へにゃへにゃとしてまるで歩こうとさえしない。
「らいじょうぶらよー」
「うっさい! 黙って寝なさい!」
 思わずツッコミのチョップを入れてしまう。いつも飼いとだったらひょいと飛びのくところだが、何せ完全に酔っ払っている状態だ。手刀はものの見事にカイトの額にクリーンヒットした。
「ぎゃん」
「あ、ごめん! やりすぎたわ」
 さすがに酔わせてしまったのが自分である手前、メイコも素直に反省して昏倒したカイトを起こそうとしたのだが。
「……えへへへへへ」
「……は?」
 額を赤くしながら、カイトが不気味に笑っていた。
「めーちゃんの愛のムチだね、えへへへへ」
「キモっ!」
 何か変なスイッチが入ったのか、額をさすりながら悦に浸った笑みを浮かべるカイトに、メイコは素直な感想を漏らす。これはキモい。すごくキモい。
「ちょっと、本気で寝なさいよ、アンタの今の顔、ちょっと犯罪になっているわよ!」
「もっとめーひゃんといっひょにあしょぶー」
「遊んでないわよ! むしろ本気で涙目よ、今!」
 ふざけているつもりなのか足元にまとわりつくカイトに、メイコは若干本気の蹴りをかます。床を二回転半して壁にぶつかったカイトを見て、しまったやり過ぎたかとまた焦ってみたが、彼はのんきにむくりと起き上がった。ちょっと鼻血を流しながら。
「もっとけってください、じょおうさま」
 きらきらとした目でそんなことを言う。
 笑い上戸とか泣き上戸とか、酔い方も千差万別だが、これはなんというのだろう。マゾ上戸?
 鳥肌が立った。
「ふざけんのも大概にしろバカイトぉーっ!」
 結構本気でマフラーをぎりぎり締め上げた。
「ぐぇぇぇ、めええぇぇえぇぢゃぁぁぁんぅぅぅ」
「いい加減正気に戻れマゾイトがぁーっ!」
「ぎぃぃぃ」
「……めーちゃん、何騒いでるのー?」
 キィ、と扉があいて、寝巻き姿のミク、リン、レンが顔を覗かせる。
 眠たげだった彼らの顔は、その光景に凍りつく。
 メイコも我に返って凍りついた。
 まだ酔っ払っているカイトだけが、マフラーでぎりぎりと絞められながらも、何故か幸せいっぱいの表情で鼻血をたらしており。
「……オタノシミノトコロスミマセンデシタ」
 三人がすごすごと扉を閉めて去っていくのを、メイコは必死に呼び止める。
「待って! 誤解! 誤解だから!」
「じょおうさまー、もっとわたくしめをけりたおしてくだしゃいー」
「黙れマゾー!」
 半泣きでとりすがるカイトを引き剥がしたところで、今度は丁度帰って来たところらしいマスターとルカに出くわす。
 マスターは呆然と立ち尽くし――ルカは、鞄のなかからなにやら黒いものを取り出していた。
「メイコ姉さま、いけませんわ。そういうプレイをなさるのでしたら、素手ではお互いを痛めつけるだけですから。道具をお使いにならないと」
 はい、と手に握らされたのは黒い皮製のムチだった。
 何でルカはそんなもの持ち歩いているのとか、どこからマスターに説明すればいいのとか、このマゾどうしようとか、色々言いたいことは山ほどあったが何ひとつ言葉にならなかったので。
「じょおうしゃまー」
 ひとまずマゾの額に渾身の力をこめて、ムチをたたきこんだ。
 ばちこーん、と結構イイ音が響いた。
 確かにこれはちょっと何かに目覚めるかもしれない、と一瞬だけ思ったのは秘密だ。


 翌朝、カイトは朝食の準備をしていた。
 額にできている赤いあざの理由はよくわからない。というか、昨晩メイコに酒入りアイスをつっこまれてからの記憶が、彼には全くわからないのだ。どうやら酷く酔っ払ったらしいのだが、マスターもメイコも気まずそうに言葉を濁すばかりで、何があったのか教えてくれない。
「ねぇ、めーちゃん」
「……何?」
「何か今日、ミクがよそよそしくない?」
「気のせいでしょ?」
「それと、何だかルカが僕を得物を値踏みするような目で見つめているんだけど」
「気のせいでしょ?」
「…………」
「…………」
「ところで、双子が僕のことをめーちゃんのエムドレーって呼ぶんだけど、エムドレーって何だろう?」
「リン! レン! ちょっと表でなさい!」
 メイコが猛烈に怒り狂いながら双子を叱りに言ったので、カイトが真実を知ったのはもう少し後のことになる。
 完全に誤解が解けるまでには、壮絶なる苦難の道のりが待っていることを知るのは、また更に後のことだった。
posted by さわのじ。 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 小説  | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。